カセルがやるべきもう一つのこと

カセルがやるべきもう一つのこと
先日、『カセルがやるべきたった二つのこと』という記事を書かせていただきました。
これは、お客様に対してやるべきことであって、ほかにもやるべきことがカセルにはもう一つあります。

それは、パン屋の未来を明るいものにするということです。

なりたい職業ランキングでは割と上位にランキングするパン屋ですが、私の経験とスタッフからの話では離職率がかなり高い職業だと思います。
長時間労働、低賃金などの厳しい労働条件のほか、製パン技術の習得が難しく時間がかかることや、日々の仕事が単調でモチベーションを維持するのがきついこと、将来の見通しを立てるのが難しいことなど、パン屋を辞める理由を書き出したらきりがないのが、このパン屋の世界の事実だと言わざるを得ません。

私は脱サラしてパン屋の世界に飛び込んだのですが、サラリーマン時代と比べても正直過酷でした。
でも退路がなくまさに崖っぷち状態でしたので、労働時間がどうとか賃金がどうとか言ってる場合ではなくて、自分の店を出すという夢に向けてがむしゃらに働いてどん欲に仕事を覚えました。
師匠や先輩後輩にも恵まれましたし、何よりもパン作りが好きだったことが、いわゆる“修行”に励むことができた要因だと思っています。

でも時代が変わり、いわゆるゆとり世代の若者達にはこの“修行”という仕組みが受け入れられなくなっているのではないのでしょうか。
いや、ゆとり世代だからと言ってしまうのは失礼かもしれません。

賃金は良いほうがいい、自分の時間も大切にしたい、しっかりした人生設計を立てたい、そんな思いはゆとり世代だけではなく、私の中にもあるごく当たり前のことです。
そんなごく当たり前の思いを実現しづらくなっているのがパン屋の世界だと思います。
そして、そもそも“修行”と称して長時間労働や低賃金労働を強いることは、今の時代ではブラック企業です。

そんなパン屋の世界を何とかしたい、若者たちにも夢を持ってパン屋で働いてほしい、そんな思いで作った仕組みがカセルにはあります。
そして実際にその仕組みのもと、他のパン屋で挫折してうちに転がり込んできたスタッフが、今元気に生き生きと働いてくれています。
その仕組みについては、また少しずつ記事に書かせていただきたいと思います。
(ツバメが巣を作り始めて嬉しいシェフです。)



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