私の人生を変えてくれたパン屋さんその一

今日は私がパン屋さんになるまでのいきさつの第三回目を書きたいと思います。
一回目、二回目の記事はこちらからどうぞ。



前回の記事でサラリーマンを辞める決心をしたところまで書きましたが、まだパン屋さんの“パ”の字も出ていませんね。
そうなんです、会社を辞める決心はしましたが、何をするかはまだ決まっていませんでした。
決まっていたのは、「自分のやったことで誰かに喜んでもらいたい!」ということのみです。

今思えば「バイクの設計をしたい!」というのはあくまでも手段の話であって、その先の目的がなかったように思います。
バイクの設計を手段として何をしたいのか、その答えがなければ挫折するのも無理がないでしょう。
今では「私の目的は皆さんに喜んでもらい社会に貢献すること!」とはっきりと言うことができるようになりました。

目的は決まりましたので、あとは職業(手段)を選ぶのみです。
職業を選ぶ時点で決めたことは、自分の店を出すこと、自分の手で作り出したものを売ることの二つです。

この時点では、パン屋さんのほか、ラーメン屋さん、蕎麦屋さんなどその他もろもろが候補に入っていました。
中学校のころなりたいと思っていた“寿司職人”に対するあこがれでしょうか、やはり職人と呼ばれる職業が自然と候補に挙がります。

次に考えたのが、「自分に何ができるのか?」ということです。
「自分は何をやりたいのか?」ではありません。

ここまで読まれた方は、「えっ!パン屋さんになりたくてなったわけじゃないの?」と思われるかもしれませんね。
ぶっちゃけますと何屋さんでもよかったのは間違いありません。
やりたいのは「みんなに喜んでもらうこと」ですので、何になるかは私にとってはあくまでも手段でした。

もちろん今ではパン屋さんになってよかったなと思いますし、天職というところまでには達していないかもしれませんが、とても自分に合った職業だと思います。
そしてみんなに喜んでもらうために努力するということは、とてもやりがいがあり幸せなことだなと日々痛感しています。

仮に私がパン屋さんを辞めざるを得ないことになったとしても、「みんなに喜んでもらう」という目的がある限り挫折することはないでしょう。
違う形でその目的を果たせばいいからです。(もちろん辞めたくはないですが。(笑))
自分の中で目的と手段をきっちり分けたことで気持ちに整理が付き、やるべきことがよりはっきりしたように思います。

あ、だいぶ話がそれてしまいましたね。(笑)
えーと、「自分に何ができるの?」と考えた答えですが、それはずばり『パン屋さん』です!

まだ会社を辞める決心をする前、まだ結婚もしていないころになりますが、家内にパン教室に行こうと誘われました。
あまり人に勧められて行動を起こすタイプではないのですが、この時はなんとなく面白そうだなと興味が湧いたのです。

案の定これが私にはまってしまいました。
教わったことを早速家でやってみたり、家内が行けない時でも私一人でパン教室に行ったりしました。
家内よりもむしろ私のほうが一生懸命だったように思います。
だんだんと上手にパンが作れるようになってくると、それがパンの形や味となって表れるので、パン教室に通うのがとても楽しみでした。
しかしこのときはまさかパン屋になるとはこれっぽっちも思っていません。

そして何年か経ったのち、会社を辞める決心をし、みんなに喜んでもらえる仕事をすると決め、自分に何ができるかを考えた結果、出てきた答えが『パン屋さん』だったのです。
今思えばなぜ自分がパン屋ならできると思ったのか思い上がりもはなはだしいのですが(笑)、思い込みと言いますか勢いと言いますかいわゆる若気の至りということで許してください。(笑)

では、そのパン教室とはどこなのでしょうか。
実は高丘町にある『ロッゲンメールさん』なんです。
私の人生を変えてくれたパン屋さんその一
パン屋さんになると決めた時、家内はそもそも脱サラに反対でしたので「パン教室に連れていくんじゃなかった...。」と言っていました。
たしかに家内が言うように、もしロッゲンメールさんのパン教室に通っていなかったら、パン屋になっていなかったかもしれませんね。
パン屋以外の職業かもしれませんし、もしかしたら会社を辞める決心も出来なかったかもしれません。
ロッゲンメールさんはまさに私の人生を変えてくれたパン屋さんなのです。
(もちろん今は家内は理解してくれていますよ。あきらめ?(笑))

昨日釣りの帰りに久しぶりにロッゲンメールさんに寄ってみました。
元気なご主人と明るい奥さんが出迎えてくれて、忙しい時間にもかかわらずコーヒーまで出していただきました。
だいぶご無沙汰してましたので、家族やらパン屋のことやらの近況報告、ドイツパンを盛り上げたいというご主人の熱い思いなどで盛り上がり、楽しい時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございます!

久しぶりにロッゲンメールさんのパンをいただきましたが、どれもおいしくご主人のこだわりや仕事の丁寧さが伝わってきました。
私の人生を変えてくれたパン屋さんその一
厨房内もチラリと見えましたが、全く汚れや散らかりのない奇麗さです。
20数年前のパン教室のときと全く変わっていないのが驚きとともに、当時の様子が懐かしく思い出されました。

オープンして28年ということですが、“職人”としての変わらぬ姿勢にただただ頭が下がる想いです。
そして私に第二の人生のきっかけを与えてくださったことに“感謝”しかありません。
私のもう一人の師匠として、その背中に一歩でも近づけるよう頑張りたいと思います。

今回は『私の人生を変えてくれたパン屋さんその一』でしたが、実はその二、その三もあります。
これらはまたの機会に...。

(今でもロッゲンメールさんのパン教室に通いたいシェフです。(笑))



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