イーストフードと乳化剤の中身

前回の記事『パン酵母を掘り下げる』の中で、『イーストフード』についてちょっとだけ書きました。
今回は、もう少し詳しく書きたいと思います。

それと、『イーストフード』とセットで扱われれることの多い『乳化剤』についても併せて書いていきたいと思います。

『イーストフード』も『乳化剤』も食品添加物です。
どちらも物質名ではなく、種類を示す一括名です。
『イーストフード』とか『乳化剤』といった物質があるわけではなく、いろいろな物質をまとめて『イーストフード』とか『乳化剤』として表示しているということです。

では、それぞれの物質を見ていきましょう。

まず『イーストフード』ですが、実際の物質は以下の通りです。
 塩化アンモニウム
 塩化マグネシウム
 グルコン酸カリウム
 グルコン酸ナトリウム
 炭酸アンモニウム
 炭酸カリウム(無水)
 炭酸カルシウム
 硫酸アンモニウム
 硫酸カルシウム
 硫酸マグネシウム
 リン酸水素ニアンモニウム
 リン酸二水素アンモニウム
 リン酸―水素力ルシウム
 リン酸二水素カルシウム
 リン酸三カルシウム
 焼成カルシウム

次に『乳化剤』です。
 グリセリン脂肪酸エステル
 ソルビタン脂肪酸エステル
 プロピレングリコール脂肪酸エステル
 ショ糖脂肪酸エステル
 レシチン
 サポニン
 
『イーストフード』については上記がすべてです。
『乳化剤』については、これがすべてですといったサイトが見当たらなかったので、これ以外にもあるかもしれません。
いずれにしても、これらの物質がそれぞれ2種類以上入っていれば、『イーストフード』や『乳化剤』と一括表示できます。

こうやって書いてみると、なんだか難しい物質名が並んでいて、食べ物に入ってちゃいけないもののような気がしてしまいますね。
しかもそれらを一括して『イーストフード』や『乳化剤』と表示していいのですから、消費者の立場からすると、なんだか怪しいぞとなってしまうわけです。

じゃ、一括表示してはだめですよ!となったら、これらすべての物質をすべて表示しなくてはなりません。
一括表示していいのは、ほかにも『香料』、『膨張剤』、『酵素』など全部で14種類あります。
すべて書き記したら大変なことになるから、というのが一括表示の理由です。

すべて書いてほしいという消費者の立場と、すべて書くのは大変だからという製造者側の立場、どちらに寄り添うべきなのでしょうか?
そもそもが、消費者がこの食べ物には何が入っているのか知りたいから、それに応えるための表示なのではないかと思います。
その観点からすれば、あくまでも私の意見ですが、やはりすべて表示すべきなのではないでしょうか。
この一括表示のルールが、消費者との壁を作っているような気がします。

ちなみにカセルでは『イーストフード』も『乳化剤』も使っていません。
使わない理由とは?
大手パンメーカーがこれらを使う理由とは?
また次回に書きたいと思います。

(平成最後の日、完売して感謝感謝のシェフです。)









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