※2019年8月26日をもちまして国産小麦100%ではなくなりました。
詳しくはこちらをご覧ください。

以前、カセルのやるべきことはたった二つですよと書かせていただきました。
それは
、『いいパンを作ること』と
『満足して買っていただくこと』です。
カセルが考えるいいパンとは、おいしいことはもちろんですが、
“安心して食べられるパン”であることが重要だと考えています。
そこで今回は、カセルがかかげる
“国産小麦100%”の理由について書きたいと思います。
オープン当初のカセルは、ただただおいしいものを追求するというスタンスでした。
ですので、おいしいと思ったものは外国産小麦であれ国産小麦であれ、区別なく使用していました。
ところが、お客さんから「こちらのパンは国産小麦を使っているの?」と幾度となく聞かれました。
「国産小麦も使っていますけど、外国産小麦も使っていますよ。」と答えると、「国産小麦100%じゃないのね。」と...。
それが続くにつれてだんだんと自分の心の中に、
「外国産小麦ってだめなの?」というモヤモヤが広がってきました。
そこで、心のモヤモヤを晴らすべく、外国産小麦について調べてみたのです。
・外国産小麦には、輸送中に害虫が付いたりカビが生えたりしないように、ポストハーベストと呼ばれる収穫後の農薬散布が行われている。
・国産小麦には、ポストハーベストが禁止されている。
・外国産小麦を使ったパンからは、残留農薬が検出されている。
・農薬は検出されているが、“一日摂取許容量”という基準によって厳しく管理されているため、人体に影響はない。(とされている。)
・その一方で、農薬がアトピー性皮膚炎、アレルギー、精子の減少などの原因と指摘されている。
・実際には、残留農薬による健康被害は報告されていない。
(調べたことはたくさんありますが、書ききれないので大筋のみ書きました。)
食料自給率が40%を切っている日本では、外国産の食物に頼らなければならず、輸入するためにはポストハーベストをせざるを得ない状況であることは理解できます。
人体への影響については、それぞれの立場や観点からの意見であり、よくわからない(どっちを信じていいかわからない)というのが本音です。
私自身生まれて約半世紀になりますが、その間には無数の外国産食物を食べており、農薬も体内に摂取されているはずです。
ですが、特に体に不具合もなく健康ですので、自分の体で判断する限りでは、農薬の影響はないのかなという気もします。
結局、いろいろ調べてみましたが、外国産小麦が危険なのか安全なのか、自分の中では結論を出すことができませんでした。
そこで頭に浮かんだことは、
「だったら国産小麦を使えばいいんじゃない。」ということでした。
何か釈然としないままパンを作ることは嫌だなと感じましたし、お客様に対して自信を持ってパンを提供できないのはもっと嫌でした。
これを機に国産小麦100%のパン作りに切り替え、すっきりとした気持ちでパン作りに取り組むことができ、今に至っています。
外国産小麦が危険だとか、国産小麦が安全だとか言うつもりは全くありません。
むしろ、危険なパンというのは世の中に存在しないのではという思いもあります。
しかし、私も含め
「残留農薬を摂取しないに越したことはない。」と大部分の人が思うのは、間違いのない事実です。
なぜなら危険か安全かよくわからないなら、そのほうが
“安心だから”です。
ですから、「国産小麦100%ですか?」と聞くお客様が多いというのも今では十分理解できます。
カセルが国産小麦を使う理由は、危険か安全かではなく
“安心だから”なのです。
お客様に「このパンは安心ですか?」と聞かれたら、胸を張って「安心ですよ!」と答えたいからなのです。
(気温差がありすぎて、生地の捏ね上げ温度の調整に苦労するシェフです。)