パン屋の労働条件の現実

これまで『パン屋の未来を明るくするために』の記事を書いてきました。
今回は、個人店のパン屋の労働条件の現状について書きたいと思います。
パン屋の労働条件の現実

皆さんは、パン屋で働く人は何時間ぐらい働くと思いますか?
一日だいたい13~16時間ぐらいです。
朝5時から働いて夜の8時に終わるとすると、休憩一時間として、14時間労働となります。

では、給料はいくらでしょうか?
入店したばかりだと18万円ぐらいです。
まあこんなものでしょうと言いたいところですが、残業代込みの金額です。

休日はだいたい週一日です。

もちろん、すべてのパン屋さんが上の条件に当てはまるわけではありません。
もっといい条件のパン屋さんもありますし、逆にもっと悪いパン屋さんもあります。

歴代スタッフの話とネットでの書き込みをもとに、リアルな数字をあげてみたつもりです。
個人のパン屋で働いたことがある人は、「そうそうこんな感じ。」と言ってもらえると思います。

では、上記の数字をもとにして時給に換算してみましょう。

ひと月30日として、月4日休みがあるとすると、稼働日は26日です。
一日14時間労働だとすると、月364時間労働です。
月給18万円とし364時間で割ると時給495円となります。

これが個人店のパン屋の悲しい現実です。

でもこの条件でも頑張る人がいます。
それは、『将来自分の店を構える』という夢をかなえるためです。
労働時間は厳しくとも、月給18万円なら生活はしていけるので、歯を食いしばって頑張るのです。

でも、前回の記事に書きましたが、いつになったらスキルを身につけることができるのかわからないのが現状です。
精神的に堪えられずに辞める人や、体を壊して辞める人が後を絶ちません。





ではなぜこのような労働を強いるのでしょうか?

ここからは私の推測になりますが、その背景には“修行”という言葉が見え隠れします。
雇う側には、「修行だから。」「俺もそうやってきたからお前もがんばれ。」的な考えがあるような気がします。
むしろ、「これを乗り越えたらお前も立派な職人だ!」などと、この労働条件を肯定する風潮すらあるように思えます。

幸いなことに、私は脱サラしてこのパン屋の世界に飛び込みました。
なので客観的にパン屋の世界を見ることができます。

だからこそ声を大にして言いたいのです。
「なにかおかしくありませんか?」「パン屋の未来は大丈夫ですか?」と。

次回は、カセルの労働条件について書きたいと思います。

(本当は楽しい記事を書きたいシェフです。)



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