パン屋の離職問題

kaseru

2019年06月20日 10:29


製造スタッフの“あやかちゃん”としゃべっていたところ、専門学校時代の同級生がどんどんパン屋さんを辞めていくという話になりました。
あやかちゃんは入社してまだ一年ちょっとです。
専門学校は2年間通ったそうなので、それよりも短かったということになります。

同じ話をスタッフの“ようこちゃん”と“ゆうと”にも聞いてみました。
ようこちゃんの同期でまだパン屋さんで働いているのは5、6人だそうです。
ゆうとに至っては、ゆうとを含め2人だけだそうです。

ようこちゃんとゆうとは卒業して6、7年で、それぞれ30人程度の同級生がいたということですが、6、7年で数パーセントしか残っていないということになります。
もちろん結婚、出産などの理由もあると思います。
ですが、この数字はちょっと異常ではないでしょうか。

辞めた人はどうしているのか聞くと、パン屋と関係のない職業についているそうです。
これは、パン屋に魅力がなかったことを意味していますね。
とても残念な話です...。

実は昨日、求人募集に伴う面接を行いました。
その子はパン屋さんで働いたことのある経験者です。

辞めた理由を聞くと、長時間労働が原因とのことでした。
なんでも、夜の12時から昼の12時まで働いていたそうです。

長時間労働もそうなのですが、夜の12時からというのはもはや意味が分かりません。
いったい何時に起きなければいけないのでしょうか。
普通の人が寝る時間に起きて働くのですから、体のリズムもおかしくなるに違いありません。

その子は1年ちょっとでその職場を辞めたそうですが、むしろよく頑張ったねと言ってあげたい気持ちです。

スタッフの話、面接した子の話を聞いて、正直“怒り”しかありません。
スタッフをこき使って、辞めたらまた次のスタッフを雇う、こんなやり方が人材不足のご時世いつまでも通用するはずがありません。
パン業界からどんどん人が離れて、結局は人手不足となって自分の首を絞めることになることに気が付かないのでしょうか。

・法定労働時間週44時間
・残業時間の上限月45時間・年360時間
・静岡県の最低賃金858円/時間

他にも有給休暇の付与など守らなければならない法規はあります。
これらを守らなければ“違法”であり、法を犯した“犯罪者”であることをすべてのパン屋さんは自覚すべきです。
これらの法規を守れないのであれば、パン屋を辞めてくださいと言いたい気持ちです。

もちろんカセルはすべての法規を守っている完全なるホワイトパン屋です。
ですが経営は決して楽ではありません。
家内が外で働いてくれており、そのサポートがなければ生活は窮するでしょう。

だからと言って従業員にそのしわ寄せを押し付けるのはおかしな話です。
これでやっていけないのであれば、自分の経営能力の無さを認めて廃業すべきです。

すいません、ちょっとヒートアップしてしまいました...。

言いたいのはこれだけです。
「これを見たパン屋さん、ちょっと考えてみてください。あなたがやっていることは明るい未来につながっていますか?」と。

(一般企業のサラリーマンを経験してよかったとつくづく思うシェフです。)



関連記事