今年の夏はたくさんの中学生が来てくださいました。
なんでも夏休みの宿題で、近所のお店や会社のことを調べるのだそうです。
来てくれたのは3組で過去最多です。
カセルのことに興味を持ってもらえるのはとてもありがたく思います。
感謝です。
取材は質問形式ですが、3組に共通して受けた質問が、「新作はどのようにして考えるのですか?」というものでした。
どうやら新作に興味があるようです。
ということで、今回はカセルでの新作の考え方について書いていきたいと思います。
新作の考え方は二パターンあります。
「この具材を使って新作を考えよう!」という具材ありきのパターンと、「この生地を使って新作を考えよう!」の生地ありきのパターンです。
具材ありきのパターンは季節商品を考えるときに多いです。
最近の新作を例にしますと、まず「シャインマスカットを使ったパンを作ろう!」と具材が決定します。
次に「シャインマスカットに合う生地は何だろう?」と考え生地が決定します。
生のフルーツの場合はデニッシュ生地であることが多いです。
ドライフルーツならハード系、甘いフィリングなら菓子パン生地かブリオッシュ生地、などと大体決まってしまいますが、いろいろな組み合わせを考えることが大事です。
一見合わなさそうなあんバターと全粒粉生地を合わせた『全粒粉あんバター』が人気商品になったりするので、固定観念にとらわれない自由な発想が大切です。
メインの具材とパン生地が決まったら、クリームなどのサブの具材、それぞれの量のバランス、食べやすく見た目に楽しい形、といった具合にだんだんと形にしていきます。
生地ありきのパターンは、実は後ろ向きなことが多いです。(笑)
カセルではパンの種類が多いために、オーブンの空き具合や店の陳列スペースの関係上、何かをやめないと新しい商品が作れないというケースが多々あります。
すると死筋商品(しにすじしょうひんと読みます。いやな言葉ですね。(笑))をやめていくわけですが、先ほどのオーブンの空き具合の関係で死筋商品と同じ生地で考えるしかないという場合が多いのです。
ということですでに生地が決まったところからスタートし、具材ありきのパターンと同様に、「この生地に合う具材は何だろう?サブの具材は...。」と考えていきます。
どちらのパターンから生まれた商品も当然試作をするのですが、合否の判断はすぐに出るケースが多いです。
いいものは「いいね!」とまではいかないまでも、「なんだかいけそうだぞ!」となりますし、ダメなものは全員一致でダメだったりします。
ブログで『〇〇試作しました!』と出せるのはいけそうな場合で、ブログにも載せられない試作も実はここだけの話たくさんあります。(笑)
また、「いける!」と思った商品でもいまいち反応が悪いという場合もあります。
そんな時は見た目を変えたりするのも大事ですね。
こんな感じで生まれた新商品は、とても愛おしく感じます。
売れ行き具合や評判はとても気になりますね。
もしカセルの新商品を手にされる場合には、こんなこともちょっと思い出していただけたら幸いです。
(『シャインマスカットのデニッシュ』の売れ行きが気になるシェフです。(笑))
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